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僧帽弁狭窄症

そうぼうべんきょうさくしょう

Mitral valve stenosis

告示番 号39
疾病名僧帽弁狭窄症
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概念・定義

僧帽弁の狭窄により左房から左室への血液流入に支障をきたす先天性心疾患。リウマチ性もあるが、小児では先天的な構造異常に起因することが多い。先天性僧帽弁狭窄は単独で発症する事もあるし、他の左心系閉塞疾患との合併例もある。新生児期、乳児期より症状を呈する場合には早期からの治療介入が必要で、予後不良であることが少なくない。治療は、カテーテル治療か手術をおこなう。カテーテル治療は困難なことが多い。

病因

先天的に僧帽弁輪や、乳頭筋、検索の構造異常がある

疫学

本症は、先天性心疾患の0.2-0.3%を占めるまれな疾患である

臨床症状

肺静脈うっ血による肺水腫、肺高血圧をきたし、体重増加不良、頻回の呼吸器感染症といった症状を呈する。進行すると心拍出量低下、浮腫などの右心不全症状が現れる。心房細動をはじめとする不整脈を呈することもある

診断

臨床症状から疑われ下記検査で確定診断にいたるが、心臓超音波検査の役割が大きい。
胸部エックス線:左房拡大(気管分岐角度の開大、側面像で左房陰影の後方への突出)、肺動脈拡大、右室拡大および肺静脈うっ血像を認める。
心電図:左房負荷所見(II誘導における幅広のノッチのあるP波、V1誘導における終末部の突出した陰性波)を呈する。肺高血圧を反映し右室、右房負荷を認める。QRS軸は右軸を呈する。
心臓超音波検査:僧帽弁の開放は不良で、左房拡大を認める。肺高血圧を反映して右室圧の上昇を認める。ドプラエコーで左室流入波形のE波deceleration time は延長する。連続波ドプラを用いて弁口面積の算出が可能である。
心臓カテーテル検査:左房圧、肺動脈楔入圧、肺動脈圧は上昇する。左室圧と左房圧(または肺動脈楔入圧)の同時計測により弁口面積が算出可能である。肺水腫が強い場合には動脈血酸素飽和度の低下及び二酸化炭素分圧の上昇を認める

治療

肺うっ血に対して利尿薬などの薬物療法が行われる。高度の狭窄に対してはカテーテル治療か手術が行われる。カテーテル治療は困難なことが多い。
先天的な構造異常に起因する場合、弁形成が困難で弁置換が選択されるが体格が小さい場合には適したサイズの人工弁がないため置換術も困難である

予後

幼少児期より症状を呈する重症例では予後不良である。弁輪狭小で、生涯、肺高血圧が持続することがある

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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