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肺動脈性肺高血圧症

はいどうみゃくせいはいこうけつあつしょう

Idiopathic pulmonary arterial hypertension

告示番 号82
疾病名肺動脈性肺高血圧症
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概念・定義

肺動脈性肺高血圧の原因は不明であるが、高度の肺動脈孿縮が生じ、そこに血管壁の肥厚性変化や血管際構築などの基質的病変が加わり惹起されるとされている。肺の筋性動脈や細動脈の中膜、内膜肥厚により肺動脈の血圧が高まり、心拍出量低下を生じ、右心不全をはじめ心臓や肺の機能に障害をもたらす、進行性の疾患。原因は、BMPR2、ALK1、Endoglinなどの遺伝子異常が存在するものと、未だ遺伝子異常があきらかでないものがある。予後不良で、難治性の疾患である。近年、様々な肺血管拡張薬が開発され、臨床使用されるようになり、予後は改善してきているが、それでも依然予後不良の疾患であることには変わりない。

病因

肺動脈性肺高血圧の発症機序は不明である。BMPR2、ALK1、Endoglinなどの遺伝子異常が存在するものと、未だ遺伝子異常があきらかでないものがある。遺伝子異常により、肺動脈平滑筋の異常増殖が起こる可能性がある。なんらかの炎症機転が働くことも示唆されている。遺伝子異常があっても本症が発症するとは限らない

疫学

100万人に1人の発症率である。小児期の発症は少ない

臨床症状

肺高血圧症の自覚症状としては,労作時呼吸困難,易疲労感,動悸,胸痛,失神,咳嗽などがみられる

診断

【胸部エックス線所見】
心拡大、肺門部肺動脈陰影の拡大を認める。
【心電図】
右軸偏位、右室肥大を認める。
【心エコー図】
心エコー図にて右室圧負荷所見を認める。三尖弁閉鎖不全の逆流血流速度や、心室中隔の形態から右室圧が推定できる。
【心臓カテーテル】
右室、肺動脈圧が上昇する。肺高血圧症の定義は右心カテーテルを用いて実測した肺動脈平均圧が25mmHg以上とされ、さらに肺動脈楔入圧が15mmHg以下であることとされている

治療

薬物療法が基本となる。Ca拮抗薬が従来用いられていたが、現在ではほとんど使用されない。
プロスタグランジンI2製剤(エポプロステノール)、エンドセリン受容体拮抗薬(ボセンタンなど)、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害薬(シルデナフィルなど)を単独で、またはこれらの薬剤の2剤、または3剤の併用療法を行う。
在宅酸素療法が施行されることがある。
移植は、生体肺移植、脳死肺移植、心肺移植が施行されることがある。
カテーテルで、心房間交通を作成することがある。

予後

予後不良、難治性。様々な肺血管拡張薬が開発され、臨床使用されるようになり、予後は改善してきているが、それでも依然予後不良の疾患であることには変わりない

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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