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69から72までに掲げるもののほか、大動脈狭窄症

そのた、だいどうみゃくきょうさくしょう

Coarctation of the aorta

告示番 号62
疾病名58から61までに掲げるもののほか、大動脈狭窄症
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概念・定義

 大動脈峡部と下行大動脈の移行部に生じる狭窄を大動脈縮窄症とよぶが、それ以外の部位、多くは、横隔膜位に発生する大動脈の狭窄を大動脈狭窄と呼ぶ。Mid aortic syndromeとも呼ぶ。大動脈炎に起因することもある。また先天的な狭窄もある。腎動脈の狭窄も合併することもある。
左室の圧負荷をきたす。狭窄が高度だと、乳児期から心不全をきたす。成人期まで無症状のこともあるが、狭窄による虚血症状、狭窄部前の血圧上昇により、脳虚血、脳出血、腎虚血、冠動脈硬化、心筋梗塞などで、寿命は通常より短い。治療と経過観察が必要な疾患である

病因

 先天性の狭窄と大動脈炎等に起因する後天性の狭窄がある。

疫学

 先天性、後天性とも稀少疾患である。大動脈炎の頻度は人口10万人に対して約0.2人で男女比1:9と報告されている。

臨床症状

 狭窄が高度の場合、乳児期から心不全をきたす。成人期まで無症状のこともあるが、狭窄による虚血症状、狭窄部前の血圧上昇により、脳虚血、脳出血、冠動脈硬化、心筋梗塞などを発症する。上間膜動脈の虚血症状があれば、腹痛、体重減少などの症状を認める。腎動脈の狭窄を合併する場合、特に高度の腎性高血圧を発症する。

診断

[心電図]
左室肥大
[胸部エックス線]
心拡大を認めることがある。
[胸腹部エコー]
大動脈の狭窄が描出される。狭窄部の流速が速くなり、乱流を認める。
[心カテーテル、造影検査]
大動脈の狭窄が描出される。狭窄部で圧差を認める。
【その他の画像診断】
CTおよびMRIで狭窄を診断することが可能。
 上記検査所見を認める。確定診断にはエコー検査、大動脈造影、CT、MRIで大動脈の狭窄を証明する。

治療

 合併する心不全、高血圧に対して、対症的に内科治療を行う。根本的な治療は狭窄部の解除である。大動脈弓部分枝病変では脳虚血が症候性である場合(頻回の失神発作、めまい)や虚血による視力障害が出現した場合、眼底血圧が低下している場合、または無症候性であっても3分枝全てに有意狭窄が認められる場合などに、上行大動脈からのバイパス術を施行する。異型大動脈縮窄は高血圧合併により自然予後が不良であるため、血行再建術の適応である。腎動脈病変では狭窄が著明で内科的治療が無効な場合には血管拡張療法やバイパス術を検討する。腸間膜病変は症候性(腹痛、体重減少など)のものは血行再建術の適応となる。狭窄後の胸部大動脈瘤、上行弓部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、末梢動脈の拡張病変に対しても人工血管置換術を行う。病変の形態は様々なため、個々の症例に適した血行再建術を計画する必要がある。術後再狭窄、合併症に関して生涯的に内科的治療・管理を行い、必要に応じてカテーテル治療ないし再手術を検討する。

予後

 心不全、高血圧がコントロールされ、重大な臓器障害を生じなければ、予後は改善する。しかし、腎動脈狭窄や大動脈狭窄症による高血圧、うっ血性心不全、虚血性心疾患、心筋梗塞、解離性動脈瘤、動脈瘤破裂などを認める重症例では治療に難渋し、死に至ることもある。いずれの場合にも、生涯的に合併症をコントロールするための内科的管理・治療を行い、必要に応じて外科手術、カテーテル治療を繰り返し検討する。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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