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末梢性肺動脈狭窄症

まっしょうせいはいどうみゃくきょうさくしょう

Peripheral pulmonary stenosis

告示番 号80
疾病名末梢性肺動脈狭窄症
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概念・定義

主肺動脈から左右肺動脈,さらに末梢での血管性狭窄である。種々の部位で狭窄となり,単独の狭窄もあるが,多くは多発性である。中心部肺動脈の狭窄であれば手術で拡大できるが、末梢側では手術施行困難である。

病因

肺動脈の各セグメントの発生の差,風疹ウイルスが弾性板の発生を障害することからの推測などの仮説があるが,確定的ではない。単独例の頻度は先天性心疾患の中の0.5%以下で先天性風疹症候群,大動脈弁上狭窄症候群 (Williams症候群), Alagille症候群, Noonan症候群, Ehlers-Danlos症候群などの部分症としてみる。多くは他の先天性心疾患に合併する

疫学

単独例の頻度は先天性心疾患の中の0.5%以下で先天性風疹症候群,大動脈弁上狭窄症候群 (Williams症候群), Alagille症候群, Noonan症候群, Ehlers-Danlos症候群などの部分症としてみる。多くは他の先天性心疾患に合併する

臨床症状

徴候および身体所見は,単独例では肺動脈弁狭窄と同様である。すなわち右室収縮期圧により 1)軽症(50mmHg以下) 2)中等症(50mmHg~体血圧程度) 3)重症(体血圧以上)に分類される。軽症例では生涯を通じて無症状であり、中等症のものでも,年少の頃は無症状であり,検診などで偶然発見されることが多い。年長になるにつれ労作時の呼吸困難や易疲労性が出現してくる。重 症 乳 児 例 で は 多呼吸・ 哺乳困難・体重増加不良・頻脈・肝腫大等の心不全症状ある。年長児では簡単な労作での呼吸困難、易疲労性をきたし激しい運動では失神、突然死もあり得る

診断

聴診所見,胸部エックス線所見,心電図所見,心エコー図検査所見から診断は比較的容易である.中等症以上の症例での治療適応決定のためには心臓カテーテル検査を行うが,最近ドプラ心エコー図を用いて圧較差測定が可能となってきている.
(理学所見)
聴診上クリック音がなく, 心雑音は肺野や背部に広く放散し,連続性となりうる。
II音は冗進する。
(胸部エックス線所見)
主肺動脈がやや突出し,左右の肺動脈は細い。肺血管の左右差があればX線上も血管陰影の左右差がある。
(心電図所見)
軽症例では正常範囲である。中等症以上では,右軸偏位,右室肥大,右房肥大を認める。右室収縮期圧が 系統動脈レベルに近づくにつれ,右側胸部誘導のQRSパタンは,rsR',rR',R,RS型で,T波は平坦 または陽性である。系統動脈圧を凌駕する例ではR,qRパタンをとり,ST下降,T波陰性のストレイン型となる.三尖弁閉鎖不全を伴うと水平面で時計方向 回転となる。右室狭小型では,右側胸部誘導のR波が低く,むしろ,左室肥大所見を呈し,純型肺動脈閉鎖と類似の心電図となる。
(心エコー図所見)
単独型では,右室圧の上昇はあるが右室流出路狭窄がない場合に疑う。ドプラ法では,三尖弁閉鎖不全の検出と逆流速度から右室圧を推定できる。また重症度は,心室中隔の右室側への偏位の程度によって半定量的に判定できる。
(心臓カテーテル検査)
狭窄の有無,右室圧,圧較差を評価し合併奇形の有無を診断し,手術前診断の目的でカテーテル検査を行う。右室圧、肺動脈内狭窄部近位側で収縮期圧力が狭窄が強い場合に拡張期圧も上昇するが脈圧は広くなる。肺動脈造影で形態を診断する。右室造影では右室内の肉柱構造が著明で壁は肥厚している。重症例では三尖弁逆流も認められる

治療

治療の適応は右室圧で判断するが、肺動脈弁狭窄と同様である。軽症例では治療は不要で、生活運動の制限もない。中等症以上で学童期にある例では運動の部活動を禁止とする。
中心部肺動脈の狭窄であれば手術で拡大できるが、末梢側では手術施行困難である。そのためカテーテルによる治療の試みはあるが、単独例では効果が少ない場合が多い。ただ術後の末梢性肺動脈狭窄には有効例があり試みる価値がある

予後

まれに乳児期早期に心不全で死亡する症例はあるが、自然に寛解する症例もある

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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