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総動脈幹遺残症

そうどうみゃくかんいざんしょう

Truncus arteriosus communis

告示番 号54
疾病名総動脈幹遺残症
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概念・定義

総動脈幹遺残は、左右両心室からの血液を単一の大血管が受け、これより冠動脈、肺および系統循環に直接血液を供給するまれな心奇形である。新生児期または乳児期早期に心不全で発症することが多い。新生児期および乳児期早期に心不全治療、外科治療を行う。外科治療としては、新生児期および乳児期早期にRastelli手術が行われるが、術後遠隔期に導管狭窄が発生し再手術が必要となる。予後不良の疾患。

発生・病因

動脈幹中隔(conotruncal septum)の発生の異常により、総動脈幹から大動脈と肺動脈への分割が生じなかったものである

疫学

全先天性心疾患の0.7~0.82%と少なく、まれな疾患であるが、新生児期の統計では1~4%と高率で、罹病、発症が早期である。
合併心奇形はまれであるが、部分肺静脈還流異常、主要大動脈肺動脈側副血行などが重要である。また染色体22q11.2欠失症候群の合併頻度が高い

臨床症状

新生児期または乳児期早期に発症することが多い。肺血流量と総動脈幹弁の逆流の程度により、発症様式や症状が左右される。
肺血流増加を伴う先天性心疾患に特有な心不全症状(多呼吸、哺乳力減弱、体重増加不良、頻脈、呼吸器の易感染性、発汗過多など)を認め、総動脈幹弁の逆流を伴うと、さらに高度となる

診断

治療

新生児期および乳児期早期に心不全治療、外科治療を行う。肺血管抵抗の低下とともに、内科的治療ではその管理が困難となる。
外科治療としては、新生児期および乳児期早期にRastelli手術が行われている。肺動脈絞扼術は姑息術として行われていたが、予後の不良な例が多い。
中長期では、Rastelli手術後の肺動脈狭窄と閉鎖不全があり、近年静脈弁を用いた流出路形成が報告されている。
総動脈幹弁の形態異常の強い症例では、ホモグラフトを用いた一期的手術例が報告されている

予後

手術を行わないかぎり予後は不良である。剖検例の50%は生後1ヶ月以下である。
新生児期の死亡に総動脈幹弁の狭窄や閉鎖不全も原因の一つとなる。
一方で、乳児期を乗り越えた幼児から年長児では肺動脈血管床の不可逆的変化も予後を悪化させる

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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