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三尖弁閉鎖症

さんせんべんへいさしょう

Tricuspid atresia

告示番 号24
疾病名三尖弁閉鎖症
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概要

三尖弁口が筋性閉鎖して心房と右心室の交通が遮断された先天性心疾患。右心房へ還ってきた静脈血は全て心房間交通を通り左心房へ流れ、機能的な単心室血行動態となる。肺動脈狭窄・閉鎖の有無と心室大血管の関係で分類される。肺動脈狭窄がないと肺高血圧となる。すなわち、Keith-Edwardsの分類ではⅠ型は正常大血管関係、Ⅱ型はd型大血管転換のものとなり、それぞれ、肺動脈閉鎖を伴うものがa型、肺動脈狭窄がb型、肺高血圧になるc型と分類され、組み合わせでⅠbなどと表現する。いずれの型もチアノーゼをなくすには、Fontan手術しかない。Fontan手術が成立すれば、その後の生存率は比較的よいが、Fontan手術20年以上経過すると、様々なFontan術後症候群が発症して、長期予後は不良である。

疫学

全先天性心疾患の0.3~5.3%を占める。 I型69%、II型27%である

症状

肺血流減少型(a型、b型)ではチアノーゼが主体で、肺血流増加(c型)ではチアノーゼは軽く呼吸障害や心不全となる。Ib型では心室中隔欠損の狭小化、漏斗部狭窄の進行により、低酸素発作を生じる場合がある。聴診上はc型ではII音の亢進を認め、d型では収縮期駆出性雑音を聴取する

診断

【心エコー】
心エコーにて四腔断面で右房から右室へのつながりの閉鎖(多くは筋性閉鎖)、筋性閉鎖にともなう心房中隔と心室中隔の不整合 (malalignment)が基本となる。また、生存のためには心房間交通(右房から左房への短絡)が必須である。心室中隔欠損による左室から右室への短絡を認めることが多い。大血管は正常連結のものと大血管転位のものに分けられる。さらに肺動脈の狭窄の有無が診断できる。
【胸部エックス線】
肺血流減少型では心拡大は少なく、肺血流増加型では心拡大を呈する。心陰影は四角ばった形状となる。
【心電図 】
心電図で、左軸偏位、左室肥大~右室低形成型である。心房間交通の不良な場合には右房負荷、肺血流量の多い例では両房負荷を示す。純型肺動脈閉鎖とは左軸偏位の有無で鑑別する。
【心臓カテーテル・造影検査】
右心カテーテル検査では閉鎖した三尖弁のため右房から右室へカテーテルを挿入できず、心房間交通を経て、左房、左室へとカテーテルが挿入される。右房造影では造影剤は右室に流れ込まない。肺動脈の形態や圧の情報が得られる。これらはFontan手術に重要な条件となる。肺動脈が低形成の例では、Fontan手術が困難なことがある

治療

【内科的治療】
心不全には利尿薬、血管拡張薬を用いる。心房間交通が不良な場合は心房中隔裂開術(BAS)を行うことがあるが、まれである。また、肺血流減少が著しいときにはプロスタグランジンE1を使用して動脈管開存を図ったり、短絡術を施行する。
【外科的治療】
チアノーゼをなくすためにはFontan手術しかない。Glenn手術をまずおこない、次いでFontan手術を行うことがある。肺動脈が細い場合には短絡術にて肺動脈をの成長を図る。Glenn手術やFontan手術まで到達できない例もある

予後

生命予後は型により異なる。最も悪いのはⅡc型で、1年生存率は約5%である。大動脈縮窄・離断合併例はほぼ全例が死亡する。Ⅰa型も1年生存率は10%で不良である。
Fontan手術が成立すれば、その後の生存率は比較的よいが、Fontan手術20年以上経過すると、様々なFontan術後症候群が発症してくる

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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