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川崎病性冠動脈瘤

かわさきびょうせいかんどうみゃくりゅう

Coronary aneurysms complicated with kawasaki disease

告示番 号5
疾病名川崎病性冠動脈瘤
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疾患概念・定義

 川崎病に合併する冠動脈瘤である。川崎病の診断は、日本川崎病学会の診断の手引き(http://www.jskd.jp/info/tebiki.html)に記載がある。川崎病に合併した冠動脈瘤については、日本循環器学会にガイドライン(川崎病心臓血管後遺症の診断治療に関するガイドライン)がある (http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_ogawas_h.pdf)。川崎病は原因不明の全身性血管炎である。特に冠動脈の炎症が特徴的である。川崎病発症後6〜8日頃、動脈の内膜および外膜の炎症性細胞浸潤がおこる。10病日頃、動脈壁全層の炎症となり、動脈の拡張が起こる。これが悪化すると瘤を形成する。瘤内の血栓の予防の目的で、抗血栓、抗凝固療法を行う。瘤の狭窄に対して、カテーテル治療やバイパス手術を行う。

病因

 川崎病は原因不明の全身性血管炎である。特に冠動脈の炎症が特徴的である。川崎病発症後6〜8日頃、動脈の内膜および外膜の炎症性細胞浸潤がおこる。10病日頃、動脈壁全層の炎症となる。内弾性板、中膜平滑筋層が単球、マクロファージ、好中球などによって傷害され、動脈の拡張が起こる。これが悪化すると瘤を形成する

疫学

 川崎病自体は増加傾向で、日本では年間に約14,000人罹患している(2013年)。急性期の心血管合併率は9.3%(男11.0%、女7.1%)、後遺症として心血管合併症として残るのは3.0%(男3.6%, 女2.1%)。このうち、冠動脈瘤として残るのは0.78%、内径8.0mm以上の巨大冠動脈瘤は0.22%である

臨床症状

 冠動脈瘤自体は通常無症状である。血栓形成され、瘤の末梢側が閉塞すると心筋梗塞が起こる。乳幼児でショックとなり、治療が遅れれば、死亡する。冠動脈によって血栓が形成され、冠動脈が閉塞すると心筋梗塞となる。しかし、右冠動脈では冠動脈瘤内血栓形成によって完全閉塞になっても、小児では無症状で経過して、気づかれないことも多い。右冠動脈完全閉塞の後、動脈瘤閉塞部位の再疎通、側副血行路が形成されるが、血流量は十分ではない。瘤の出口では狭窄を起こすことが多い

診断

 心エコー、冠動脈造影、CT、MRIなどで診断する。小動脈瘤または拡大は、内径4mm以下の局所性拡大所見を有するもので、年長児(5歳以上)では周辺冠動脈内径の1.5倍未満とされる。中等瘤は、4mm<内径<8mmで、年長児(5歳以上)では周辺冠動脈内径の1.5倍から4倍のものとする。巨大瘤は内径≧8mmであり、年長児(5歳以上)で周辺冠動脈内径の4倍以上としている

治療

 抗血小板薬(アセチルサリチル酸、フルルビブロフェン、ジピリダモーレ、チクロピジン、クロビドグレル)、抗凝固薬(ワルファリン,ヘパリンなど)の内服を行う。抗血小板薬は基本的に重症度に関わらず全例に使用する。抗凝固薬の適応は、中等〜巨大冠動脈瘤形成例、急性心筋梗塞発症既往例、冠動脈の急激な拡大を伴う血栓様エコーの出現である。尚、ワルファリンはPTINR:2.0〜2.5でコントロールする。
冠動脈狭窄例に対しては、カテーテル治療、バイパス手術の適応となることがある。
心筋梗塞後慢性期では、内科治療、薬物治療をおこなう

予後

 心筋梗塞は川崎病患者数の0.01%とされる

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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