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心内膜線維弾性症

しんないまくせんいだんせいしょう

Endocardial fibroelastosis

告示番 号45
疾病名心内膜線維弾性症
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概念・定義

 1つあるいはそれ以上の心室ならびに心房に、膠原線維および弾性繊維の増生に基づく心内膜の肥厚を生じる疾患。確定診断は、組織学的所見で、びまん性に心内膜肥厚を認める。高度の心不全を呈し、予後不良である。最近、減少している疾患である。治療は、薬物治療、心室再同期療法、人工心臓の植え込み、心臓移植などである。

病因

 原因不明である。母親が妊娠中に流行性耳下腺炎に感染すると、出生後、児に本症が発生するという説がある。流行性耳下腺炎ウイルスのゲノムが検出されたり、妊娠前に流行性耳下腺炎ワクチンの予防接種で本症が減少したことが根拠である

疫学

 最近、減少している疾患である。原発性のものは、きわめてまれな疾患となっている

臨床症状

 乳児期に高度の心不全症状を認める

診断

[理学的所見]
III音の奔馬調律、僧帽弁閉鎖不全による収縮期駆出性雑音を聴取することがある。浮腫、肝腫大など心不全所見を認める。
[胸部エックス線所見]
胸部エックス線で心拡大を認める。
[心電図所見]
心電図で左側胸部誘導の著明なR波の増高を認める。
[心エコー所見]
心エコーでは、左室収縮能の低下を認め、心内膜の輝度上昇を認めることがある。しかし、心エコー上、収縮不全の非特異的所見しか認めないこともある。
[心臓カテーテル、心筋生検]
所見は非特異的である。心室収縮能は低下し、心室は拡張する。左室からの心筋生検では、心内膜肥厚所見を認めるが、右室生検では特異所見を認めないことが多い。
[合併症]
原発性の他に、胎児期から乳児期の高度の左室流出路狭窄疾患(大動脈縮窄、大動脈弁狭窄、弁下狭窄、左心低形成症候群症候群)や、拡張型心筋症や左室緻密化障害など様々な心筋疾患に合併することもある。
[確定診断は組織所見]
 心内膜は正常では薄く透明であるが、本症では心内膜が厚く(20 μm以上)白色化した状態となっている。心臓内面を観察すると、白いなめし革のように見える。組織所見で、膠原線維および弾性繊維の増生に基づく心内膜の肥厚があれば、診断できる

治療

1. 日常生活の管理
無症状ならDの管理区分。有症状ならCの管理区分。原則として強い運動は禁止、学校の運動部は禁止。
2. 薬物治療
有症状例には慢性心不全に対する治療をおこなう。
利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を投与する。β遮断薬(カルベジロールなど)の投与も考慮する。
急性心不全には、利尿薬、フォスフォジエステラーゼIII阻害薬、カテコラミンの点滴をおこなう。
不整脈に対しては、抗不整脈薬を投与する。
 心室性頻拍症に対しては、アミオダロン内服や植え込み型除細動器(ICD)が適応となる。
3.デバイス治療:
心停止蘇生例に対しては、ICD植え込みが適応となる。右室と左室が同期して収縮していない例や、心電図上QRS幅が広い例では、心室再同期療法のペースメーカー植え込みが適応となる場合がある。
4.心臓移植
内科的治療に反応しない場合には、心臓移植の適応となる。その前に状態悪化が予想される時は、人工心臓の植え込みが適応となる場合がある

予後

 予後は不良である。まれに長期生存例がそんざいする。まれな長期生存例でも生涯にわたる抗心不全療法が必要である

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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