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拘束型心筋症

こうそくがたしんきんしょう

Restricted cardiomyopathy

告示番 号20
疾病名拘束型心筋症
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概念・定義

 左室の拡張障害を認め、心不全を呈する疾患。左室の収縮能はほぼ保たれ、左室拡大はない。組織上は心筋細胞の肥大、線維化など非特異的所見を認める。しばしば家族性を呈し、筋原線維や細胞骨格蛋白の遺伝子異常を認めることがある。突然死、うっ血性心不全症状、不整脈などを呈する。治療困難で予後不良の疾患である。乳幼児など若年者ほど予後は悪い。いったん有症状になると病態悪化の進行は速く、心移植の適応となる。

病因

 トロポニンIなどサルコメアを形成するタンパク質の遺伝子異常や、デスミンなど細胞骨格蛋白の遺伝子異常に起因する場合がある。
遺伝子異常が判明しない場合には、原因は不明といわざるをえない。

疫学

 小児での有病率は不明であるが、まれな疾患である。小児心筋症の2.5−5%を占める。小児の平均の発症年齢は6歳である

臨床症状

 易疲労、呼吸困難、体重増加不良などを認め、無症状例は少ない。労作時の呼吸困難が特徴的である

診断

[理学的所見]
III音を聴取することがある。浮腫、肝腫大、腹水など心不全所見を認める。
[胸部エックス線所見]
胸部エックス線で肺うっ血を認めることがある。
[心電図所見]
左室肥大を認めることがある。ST低下など非特異的所見を認めることがある。
[心エコー所見]
左室流入波形で左室拡張障害を認める。この所見に呼吸性変動がない(収縮性心膜炎との鑑別に重要)。心室壁の肥厚は認めない。左房は拡大、左室は拡大しない。左室収縮低下はない。
[心筋シンチグラフィー]
心筋シンチグラフィーで心筋灌流低下を認めることがある。
[心臓カテーテル、心筋生検]
左室の拡張障害の所見を認める。左室拡張末期圧上昇、左室圧の拡張期dP/dtの低下、拡張期圧square root sign。心筋生検では、心筋の変性、線維化を認める。
確定診断は、かたい左室、左室拡大はない、収縮能は正常、基礎疾患はない、で診断。心エコー、心臓カテーテルが重要

治療

1. 日常生活の管理
無症状ならDの管理区分。有症状ならCの管理区分。原則として強い運動は禁止、学校の運動部は禁止。
2. 薬物治療
慢性心不全に対する治療をおこなう。利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、β遮断薬(カルベジロールなど)の投与を考慮する。β遮断薬による徐脈化で左房圧を下げるという考えもあるが、効果は未だ不明である。
急性心不全には、利尿薬、フォスフォジエステラーゼIII阻害薬、カテコラミンの点滴をおこなう。
不整脈に対しては、抗不整脈薬を投与する。心室性頻拍症に対しては、アミオダロン内服や植え込み型除細動器(ICD)が適応となる。
3.デバイス治療:
心停止蘇生例に対しては、ICD植え込みが適応となる。
4.心臓移植
予後不良であるので、心臓移植を考慮すべきである。その前に状態悪化が予想される時は、人工心臓の植え込みが適応となる場合がある

予後

 難治性の予後不良の疾患である。特に乳児期発症例は予後が不良である。小児の2年生存率は50%である

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会
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