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家族性若年性高尿酸血症性腎症

かぞくせいじゃくねんせいこうにょうさんけっしょうせいじんしょう

Familial juvenile hyperuricaemic nephropathy; FJHN

告示番 号3
疾病名家族性若年性高尿酸血症性腎症
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概念・定義

若年(腎機能の低下する前)から排泄低下型高尿酸血症を呈し,30~40歳代で末期腎不全に至る常染色体優性遺伝の疾患である1)。 高率に高血圧を呈し,高尿酸血症に対する十分な治療をするにもかかわらず腎障害が進行する場合が多い1~4)。男女ともに高尿酸血症が認められる。
 病名については,家族性若年性痛風腎症(familial juvenile gouty nephropathy ;FJGN),高尿酸血症を伴う家族性腎症(familial nephropathy associated with hyper uricemia ; FNAH),家族性腎性痛風 (familial renal gout)などの呼び方があり,統一されていない。近年uromodulin遺伝子異常に基づく疾患群が提唱され,本症は現在uromodulin関連腎疾患(uromodulin-associated kidney diseases: UAKD)の一つとされている。

病因

Kamataniらは日本人FJHNの家系の連鎖解析を行い,その結果16p12の領域をFJHN遺伝子座の候補領域として発表した5)。その後,2002年末のHartらのポジショナルクローニング成功により,uromodulin(UMOD)遺伝子が同遺伝子座の疾患遺伝子と判明した6)。さらに,UMOD遺伝子を最初に発見した大家系ついて, 家系メンバーの遺伝子型を確認したうえで遺伝子型と症状の関係を検討し,罹患者は腎機能や年齢性別に関係なく尿中のUMODタンパク量,すなわちuromodulinが著しく減少していることも報告している7)8)。このほかのUMOD変異をもつ別家系でも同様な結果であった。 罹患者では腎不全のない若年者でも尿中uromodulinは非罹患者の1/7程度に減少を認めていることから,変異型のみならず正常型uromodulinの分泌も抑制されていることが示唆される7)。
uromodulinは組織学的にはネフロンの中で,ヘンレのループ太い上行脚と遠位尿細管起始部にて発現する。その生体内での働きについては,尿路感染予防や尿細管の水の透過性の抑制などが示唆されているが,明らかではない。Choiらの研究では,uromodulinはリボゾームで合成され,的確にfoldingが行われ,ゴルジ体に運ばれ,ついにはGPIアンカー(glycosylphosphatidyl-inositolanchor)とともに上皮細胞の細胞表面に出現し,排出される9)。uromodulinのcysteine残基に変化が起きると,foldingが行われず,uromodulinタンパクの輸送が的確に行われないことで細胞内に蓄積するという説が有力である。それによりヘンレ上行脚の肥厚部分に障害が発生し,高尿酸血症,腎不全を起こすと考えられている。この部分に作用するループ利尿薬は細胞外液量を減少し,GFRが低下し近位尿細管での尿酸再吸収が増加して高尿酸血症をきたすことが知られている。

表. 家系メンバー遺伝子型と症状の関係の検討 (文献7より改変)

1. 遺伝子は変異型でも高尿酸血症のない場合があり,特に女性では17-62歳の5人で6.Omg/L以下の値を示した.16歳以上の罹患者66人の平均血清尿酸値は,女性で7.49±1.71mg/dL(コントロール群は4.24±1.09mg/dL,p<0.001),男性で9.43±1.78mg/dL(同6.44±1.23mg/dL,p<0.001)であった.
2. 罹患者は腎機能が正常範囲(クレアチニンクリアランス>80mL/min)であっても常に尿酸排泄分画率(CUA/CCr)が低かった.しかし,罹患者と非罹患者の両者ともにばらつきが大きく,女性では罹患者は1.7-6.7%(非罹患者3.1-10%),男性では罹患者は1.6-8.7%(非罹患者2.5-7.3%)であった.
3. 腎不全が最も例外の少ない症状であり,20歳以上では罹患者のほとんどがクレアチニンクリアランス80mL/min以下を示した.
4. 腎不全のない罹患者(8人)には高血圧はなかった.
5. UMODは尿路感染の防御因子であると考えるグループがあるが,罹患者であっても尿路感染症の頻度が多いということはなかった.
6. 更に,罹患者は腎機能や年齢性別に関係なく尿中のUMODタンパク量が著しく減少していることが複数のグループから報告されている.

uromodulinは組織学的にはネフロンの中で,ヘンレのループ太い上行脚と遠位尿細管起始部にて発現する。その生体内での働きについては,尿路感染予防や尿細管の水の透過性の抑制などが示唆されているが,明らかではない。Choiらの研究では,uromodulinはリボゾームで合成され,的確にfoldingが行われ,ゴルジ体に運ばれ,ついにはGPIアンカー(glycosylphosphatidyl-inositolanchor)とともに上皮細胞の細胞表面に出現し,排出される9)。uromodulinのcysteine残基に変化が起きると,foldingが行われず,uromodulinタンパクの輸送が的確に行われないことで細胞内に蓄積するという説が有力である。それによりヘンレ上行脚の肥厚部分に障害が発生し,高尿酸血症,腎不全を起こすと考えられている。この部分に作用するループ利尿薬は細胞外液量を減少し,GFRが低下し近位尿細管での尿酸再吸収が増加して高尿酸血症をきたすことが知られている。

病態

家族性若年性痛風腎症の特徴は,①若年時から痛風を伴う高尿酸血症がある,②高血圧を伴う,③常染色体優性遺伝形式をとり男女ともに発症する,④尿酸の過剰産生はなく,HGPRTやPRPP合成酵素活性は正常である,⑤進行性の腎不全で40歳未満で死亡することがあるなどの特徴がある。また,本疾患では他の遺伝性腎疾患の特徴をもたない。

診断と鑑別診断

一次性痛風は,通常30歳代以降に発症し,男性の罹患が多く,腎障害の進行は緩徐であるうえに,アロプリノールなどの尿酸コントロール薬により腎障害の進行が防止できる点で本疾患と大きく異なる。鑑別を要する疾患として,常染色体優性髄質性嚢胞腎(autosomal dominant medullary cystic kidney disease : MCKD)の一部に家族性に高尿酸血症,痛風と高血圧をきたすもの(MCKD2)がある6)があり,ともにUMOD遺伝子変異による疾患であることが明らかにされている。

治療と予後

進行性の腎不全を呈する可能性がきわめて高い。アロプリノールは高尿酸血症を是正し,痛風性関節炎の予防に有効であるが,本疾患の進行を防止し得るか否かについては明らかではなく,むしろ疑問視されている。血清尿酸値と血圧の長期にわたる厳密なコントロールが必須であるが,その有効性に関するプロスペクティブな検討はなく,確立していない。

参考文献

1) Duncan H, Dixon AS. Gout, familial hypericaemia, and renal disease. Q J Med 29:127-35, 1960
2) Moro F, Ogg CS, Simmonds HA, et al. Familial juvenile gouty nephropathy with renal urate hypoexcretion preceding renal disease. Clin Nephrol 35: 263-9, 1991
3) Yokota N, Yamanaka H, Yamamoto Y, et al. Autosomal dominant transmission of gouty arthritis with renal disease in a large Japanese family. Ann Rheum Dis 50:108-11, 1991
4) Puig JG, Miranda ME, Mateos FA, et al. Hereditary nephropathy associated with hyperuricemia and gout. Arch Intern Med 153:357-65, 1993
5) Kamatani N, Moritani M, Yamanaka H, et al. Localization of a gene for familial juvenile hyperuricemic nephropathy causing underexcretion-type gout to 16p12 by genome-wide linkage analysis of a large family. Arthritis Rheum. 2000 Apr;43(4):925-9.
6) Hart TC, Gorry MC, Hart PS, et al. Mutations of the UMOD gene are responsible for medullary cystic kidney disease 2 and familial juvenile hyperuricaemic nephropathy. J Med Genet 39:882-92, 2002
7) Bleyer AJ, Woodard AS, Shihabi Z, et al. Clinical characterization of a family with a mutation in the uromodulin (Tamm-Horsfall glycoprotein) gene. Kidney Int 64:36-42, 2003
8) Vylet'al P, Kublová M, Kalbácová M, et al. Alterations of uromodulin biology: a common denominator of the genetically heterogeneous FJHN/MCKD syndrome. Kidney Int 70:1155-69, 2006
9) Choi SW, Ryu OH, Choi SJ, et al. Mutant tamm-horsfall glycoprotein accumulation in endoplasmic reticulum induces apoptosis reversed by colchicine and sodium 4-phenylbutyrate. J Am Soc Nephrol16:3006-14, 2005
10) Mateos FA, Puig JG. Renal hemodynamic in familial nephropathy associated with hyperuricemia (FNAH). Spanish Group for the Study of FNAH. Adv Exp Med Biol 370:31-4, 1994
11) Mejías E, Navas J, Lluberes R, Martínez-Maldonado M. Hyperuricemia, gout, and autosomal dominant polycystic kidney disease. Am J Med Sci 297:145-8, 1989
12) Kaehny WD, Tangel DJ, Johnson AM, et al. Uric acid handling in autosomal dominant polycystic kidney disease with normal filtration rates. Am J Med 89:49-52, 1990
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児腎臓病学会
成長ホルモン療法の助成に関して
腎機能障害が進行し、身長が-2.5SD以下の場合でがつ成長ホルモン治療の対象基準を満たす場合は、小慢による成長ホルモン治療助成の対象となります。
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