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びまん性星細胞腫

びまんせいせいさいぼうしゅ

Diffuse astrocytoma

告示番 号64
疾病名びまん性星細胞腫
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概念

神経膠腫(グリオーマ)は脳・脊髄の神経膠(グリア)細胞から発生し、WHOの脳腫瘍分類で低悪性度(悪性度Ⅰ・Ⅱ)と高悪性度(悪性度Ⅲ・Ⅳ)に分けられる。グリア細胞のうち星細胞から発生するグリオーマが星細胞腫であり、そのうちびまん性星細胞腫はWHO分類悪性度Ⅱに相当する。典型的には若年成人に多く、増大は緩徐である。中枢神経のどの部分にも発生しうるが、テント上のことが多い。退形成性星細胞腫や膠芽腫といった高悪性度グリオーマに転化することがある。

疫学

全星細胞腫の10-15%を占め、1年間で100万人に約1.4人の発生頻度である。年齢では、30-40歳にピークがある。20歳以下で発生するのは全体の約10%で、約60%が20-45歳、約30%が45歳以上で発生する。男性にやや多い(男:女=1.18:1)。

病因

グリオーマの大半は病因不明であるが、電離放射線への曝露(主に放射線治療)により発症率が増加することは明らかになっている。

発生部位

中枢神経のどの部位にも発生しうるが、前頭葉や側頭葉に多く、それぞれ全体の約3分の1である。脳幹部や脊髄にも発生するが、小脳での発生はあまりない。

症状

発語障害、知覚・視覚・運動機能の変化のような異常が先行することがあるが、痙攣がよく見られる主症状である。前頭葉の病変では、行動や性格の変容が見られることがある。これらの変化は、診断の数ヵ月前から生じることがある一方、突然消失することもある。

診断方法

1) 画像
CTスキャンでは、境界不明瞭な均一で低吸収な腫瘤であり、石灰化や嚢胞形成が見られることがある。造影剤では造影されないことが多いが、時に軽度に造影されることがある。MRIでは、T1強調像で低強調、T2強調像で高強調となる。ガドリニウムによる造影効果は受けないことが多いが、悪性転化をすると造影される傾向がある。
2) 病理
切除または生検組織にて病理診断される。

治療

一次治療は外科的切除である。腫瘍の切除が不十分な患者に対する治療選択肢としては経過観察、放射線治療、再切除、化学療法があり、個々の患者ごとに決定されるが、化学療法としてはcarboplatinとvincristineの併用療法などが有効とされる。認知能を最大限発達させるために、低年齢患者の放射線治療は可能な限り遅らせる必要がある。

予後

個々の症例で幅が大きいが、外科手術後の平均生存期間は6-8年とされ、膠芽腫への転化が起こる場合は、平均4-5年後である。低悪性度グリオーマ全体としては、肉眼的に全切除された患者では90%を超える長期生存が得られ、化学療法や放射線治療を行ったものも含む全体での3年無増悪生存率は61-75%、10年生存率は70-90%と報告されている。

参考文献

1. von Deimling A, Burger PC, Nakazato Y, Ohgaki H, Kleihues P. Diffuse astrocytoma. WHO Classification of Tumours of the Central Nervous System, Louis DN, Ohgaki H, Wiestler OD, Cavenee WK (eds). Renouf Publishing, Ottawa, 2007, pp25-29.
2. Gan G, Haas-Kogan D: Low-Grade Gliomas. Pediatric CNS Tumors, Gupta N, Banerjee A, Haas-Kogan D (eds) 2nd Edition. Springer-Verlag, Berlin, 2010, pp. 1-35.
3. Blaney SM, Haas-Kogan D, Poussaint TY, Santi M, Gilbertson R, Parsons DW, Pollack I: Glomas, ependymomas, and other nonembryonal tumors of the central nervous system. Principles and Practice of Pediatric Oncology, Pizzo PA, Poplack DG (eds) 6th Edition. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 2011, pp740-748.
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児血液・がん学会、日本小児神経外科学会
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