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褐色細胞腫

かっしょくさいぼうしゅ

Pheochromocytoma

告示番 号7
疾病名褐色細胞腫
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概念・定義

副腎髄質のクロム親和性細胞から生じた腫瘍。傍神経節から生じたものは特に傍神経節腫(パラガングリオーマ)と呼ばれる。臨床的にも検査データ上もカテコラミン過剰産生を伴う機能性のものと、そうではない非機能性のものとがある。また、傍神経節腫では、交感神経由来と副交感神経由来のものがある。

疫学

2009年の厚生労働省「褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成」研究班(成瀬班)調査では、推定患者数は約3000人。平均54歳で、男女差なくあらゆる年齢に認められる。悪性は11.0%、傍神経節腫は17.3%、多発性は12.7%、家族性は10.0%であった。また、小児がん学会全数把握事業の集計結果によると、2009年では全小児がん2095例中1例、2010年では2065例中1例、2011年では1802例中3例と極めて稀である。

病因

腫瘍の発生原因は不明であるが、近年、NF1、RET、VHLに加えて、コハク酸脱水素酵素サブユニットをコードするSDHB、SDHDなどが原因遺伝子として考えられている。

症状

機能性では、カテコラミン過剰産生に伴う諸症状をきたす。特に、発作時のみ高血圧、頭痛、動悸、発汗が起こるもの(エピネフリン産生-発作型)と持続性の高血圧症状や感情不安定、体重減少など代謝亢進症状の見られるもの(ノルエピネフリン産生-持続型)とに分けられる。

診断

基本的に摘出された腫瘍の病理組織像に基き診断される。良悪性の鑑別と言う点では、明らかに被膜を超えて周囲組織へ浸潤していたり、多臓器への転移が認められる場合を除き、困難である。近年、前述のSDHB遺伝子変異を伴う褐色細胞腫において、悪性に至る頻度は50%との報告もあり、遺伝子変異検査が有用である可能性が示唆されている。
術前診断としては、血漿ノルエピネフリン・エピネフリン値高値や尿中ノルメタネフリン・メタネフリン高値、尿中VMA高値、また、131I-MIBGないし123I-MIBGシンチグラフィによる集積像の確認が有用である。また、甲状腺髄様癌などが認められる場合には、多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の可能性を考え精査が必要である。

治療

良性例では外科的切除で治癒する。しかし、悪性例では有用な治療方法がない。そのため、カテコラミン過剰症状を抑える治療、外科的手術による腫瘍容積の減量、α、β遮断薬を中心とした薬物療法が行われる。また、cyclophosphamide、vincristine、dacarbadineによる化学療法や分子標的治療(チロシンキナーゼ阻害薬やmTOR阻害薬)、131I-MIBG治療なども試みられている。

予後

SDHB遺伝子変異を伴う褐色細胞腫では、転移が早く予後不良であるという報告がある。

参考文献

泌尿器科・病理 副腎腫瘍取扱い規約 (改訂第2版) 金原出版 2005年

外科病理学(第4版) 向井清、真鍋俊明、深山正久 編集 文光堂 2006年

櫻井晃洋. [家族性内分泌腫瘍の最近の話題] 遺伝性内分泌腫瘍群. 病理と臨床. 29(5): 460-465, 2011

木村伯子. 悪性褐色細胞腫の病理組織診断 –SDHB免疫染色の意義. 医学のあゆみ. 240(2): 163-167, 2012

田辺晶代, 市原淳弘. 褐色細胞腫の治療 –化学療法、放射線療法、対症療法など. 医学のあゆみ. 240(2): 168-172, 2012

竹越一博, 星野雅也, 川上康. 褐色細胞腫の遺伝子診断. 医学のあゆみ. 240(2): 173-180, 2012
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児血液・がん学会
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