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24及び25に掲げるもののほか、組織球症

そのた、そしききゅうしょう

Other histiocytosis

告示番 号47
疾病名45及び46に掲げるもののほか、組織球症
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概念・定義

組織球が増殖する疾患の総称である。組織球は、抗原提示細胞である樹状細胞と抗原貪食細胞であるマクロファージに大別され、ともに骨髄起源の造血幹細胞に由来する。樹状細胞が増殖する疾患の代表としてLangerhans細胞組織球症(LCH)、マクロファージが増殖する疾患の代表として血球貪食性リンパ組織球症(HLH)がある。その他のまれな組織球症として、樹状細胞性腫瘍と非ランゲルハンス細胞組織球症があり、前者には、濾胞樹状細胞肉腫(Follicular dendritic cell sarcoma:FDCS)、指状嵌入樹状細胞肉腫(Interdigitating dendritic cell sarcoma:IDCS)、ランゲルハンス細胞肉腫(Langerhans cell sarcoma:LCS)が、後者には、若年性黄色肉芽腫(Juvenile xanthogranuloma:JXG)、エルドハイム・チェスター病(Erdheim-Chester disease:ECD)、ロサイ・ドルフマン病(Rosai-Dorfman disease:RDD、別名:塊状リンパ腺症を伴う洞組織球増多症(Sinus histiocytosis with massive lymphadenopathy))が含まれる。

疫学

LCH:発症のピークは乳幼児であるが全年齢に発症しうる。日本では、年間60-70例の小児が新規発症すると推定される。
HLH:遺伝子異常による原発性とEBウイルスなどの感染症やリンパ腫、自己免疫疾患などに続発する二次性に大別され、原発性HLHは乳児期発症が多いが、二次性HLHは全年例に発症しうる。日本ではEBウイルス関連HLHが最も多い。原発性HLHは年間15-20例、二次性HLHは年間40-50例の小児が新規発症すると推定される。
まれな組織球症:JXGは主に乳幼児にみられ日本で年間約10例の小児が新規発症するとされ、そのほとんどは皮膚型であるが、年間2-3例の全身性(播種性)JXGの発症が推定される。その他の病型は、すべて合わせても日本での新規発症小児例は年間1-2例と推定される。

病因

LCH:未熟樹状細胞の性格を有するLCH細胞が単クローン性の増殖症であるが、その増殖機序は未だ明らかではないが、近年、半数以上の例にBRAF遺伝子の腫瘍性変異が認められると報告された。LCHの病変部位には、種々の炎症細胞や破骨細胞様巨細胞の浸潤があり、組織破壊が生じる。
HLH:原発性HLHは主にperforinMUNC13-4syntaxinMunc18-2等の殺細胞顆粒およびその放出に関わる遺伝子の異常による。原発性、2次性HLHともに、NK細胞および細胞傷害性T細胞の過剰活性化に伴う高サイトカイン血症が本体で、それによる組織傷害である。
まれな組織球症:樹状細胞性腫瘍は樹状細胞の腫瘍化によるがその機序は不明である。非ランゲルハンス細胞組織球症の中で、ECDにはLCHと同様にBRAF遺伝子の腫瘍性変異が報告されている。JXGとRDDについては、増殖機序は不明である。

症状

LCH:単一臓器に浸潤するSS型、多臓器に浸潤するMS型に分類され、浸潤臓器により症状は多彩である。SS型の80%以上は骨病変であるが、皮膚、リンパ節病変の場合もある。MS型は、骨と皮膚病変が多く、次いで造血器、リンパ節、肝、脾、軟部組織、肺、胸腺、下垂体などあらゆる臓器に発生する。骨痛(溶骨病変)、腫瘤触知、皮疹、発熱、リンパ節腫脹、耳漏、肝脾腫、呼吸困難、尿崩症など様々な症状を呈する。
HLH:持続する発熱、皮疹、肝脾腫、リンパ節腫張、出血症状、けいれん、呼吸障害、肝障害、腎障害、下痢、浮腫など、高サイトカイン血症に伴う多彩な症状を呈する。
まれな組織球症:樹状細胞性腫瘍のうちFDCSとIDCSはリンパ節腫脹が種症状であるが、LCSはその他に骨、皮膚、肝、脾、肺、骨髄など種々の臓器に浸潤し、浸潤臓器により症状は多彩。JXGは多発性結節性丘疹の他、皮下や頭蓋内・肝/脾・肺・眼/眼窩・骨などに腫瘤を形成する。ECDは両側対称性の硬化性の長管骨病変、体重減少や発熱を主症状とし、半数以上の例に後腹膜線維症に伴う尿管狭窄、黄色腫、小脳失調、尿崩症、肺線維症などがみられる。RDDは無痛性の両側性頸部リンパ節腫脹が主症状で、膨隆疹や溶骨性病変、発熱、体重減少、自己免疫疾患がみられる。

治療

LCH:単独病変SS型は自然軽快する例もあり、頭蓋顔面部位以外の骨病変は、経過観察することが多い。多病変SS型、MS型はビンクアルカロイドを基本にした抗がん剤による治療が必須である。
HLH:高サイトカイン血症の沈静化のために、ステロイドや免疫抑制剤(サイクロスポリンA)、VP-16を組み合わせた免疫化学療法が用いられる。原発性HLHでは、造血細胞移植が必要である。悪性疾患に伴う2次性HLHの場合には原疾患の治療が優先される。
まれな組織球症:FDCSとIDCSは腫瘤切除が第一選択である。LCSは強力な化学療法が必須で、造血細胞移植も治療選択に上がる。JXGの皮膚型は経過観察でよいが、全身型はLCHに準じた化学療法を必要とする。ECDはインターフェロンαの有効性が海外から報告されている。RDDの多くは自然治癒するが、多発病変のある例ではステロイド療法や多剤併用化学療法が行われるが効果は定まっていない。

予後

LCH:MS型で肝臓または脾臓、造血器に浸潤のある場合には生命予後は不良であり、死亡率は10-20%である。そのほかの病型については、生命予後は良好である。多病変SS型の30%、MS型の40-50%は再燃し慢性に経過する。多病変SS型の30%、MS型の40-50%は尿崩症や中枢神経変性病変など様々な不可逆的病変を残す。不可逆的病変は、再燃例に有意に多い。
HLH:原発性HLHの生存率は免疫化学療法と造血細胞移植により50%に、EBウイルス関連HLHの生存率は免疫化学療法により90%に改善した。
まれな組織球症:FDCSは腫瘤切除後、半数は局所再発し、25%は転移所見が見られる。IDCSの予後は一般に良好で、腫瘤切除により治癒することが多い。LCSは予後不良で粗生存率は50%。JXGのうち皮膚型の多くは自然消退するが、全身型で肝不全を呈する例や頭蓋内腫瘤のある例は生命予後不良の場合もある。ECDは長期の経過をたどり、肺線維症による呼吸不全や心不全、尿管閉塞による腎不全で死亡することが多い。RDDはリンパ節病変のみの例は無治療で寛解し再燃は少ないが、腎・肺・肝病変などの節外病変を伴う例は寛解増悪を繰り返し経過は年余にわたり5-10%は致死的である。

参考文献

1. 石井榮一, 森本 哲. 組織球増殖性疾患. 新小児がんの診断と治療. 診断と治療社、pp240-261, 2007.
2. 石井 榮一. 血球貪食症候群の病態と治療の新たなる展開. 血液内科. 2011; 63: 621-626.
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5. Wilejto M, Abla O. Langerhans cell histiocytosis and Erdheim-Chester disease. Curr Opin Rheumatol. 2012; 24: 90-96.
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7. Kairouz S1, Hashash J, Kabbara W, et al. Dendritic cell neoplasms: an overview. Am J Hematol. 2007; 82: 924-928.
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児血液・がん学会
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