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内軟骨腫症

ないなんこつしゅしょう

Enchondromatosis; Ollier disease; Osteochondromatosis; Dyschondroplasia

告示番 号19
疾病名内軟骨腫症
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概念・定義

内軟骨腫症は良性腫瘍である内軟骨腫(軟骨腫)が全身の骨に多発する疾患である。片側性に腫瘍が多発することが多いが、
両側性あるいは交叉性のこともある。内軟骨腫は短管骨に好発するが、長管骨、肋骨、骨盤などの頻度も高い。
成長期に緩徐に増大して、進行性に骨の膨隆が生じる。内軟骨腫が成長軟骨板の発育を妨げるため、罹患部位の変形や短縮が生じる。
機能的には関節可動性が障害されること、著しい成長障害での脚長不等やアライメント異常が生じること、の2点が臨床的な問題である。
重症例では上肢および下肢の機能障害を呈することも少なくない。血管腫を伴う内軟骨腫症はMaffucci症候群と呼ばれる。
成人期以降に軟骨肉腫などへ悪性化する報告もある。

病因

遺伝性は確認されておらず散発性を示す。PTHR1(3p22-21.1)の胚細胞あるいは体細胞変異が原因のひとつとされている。

疫学

本邦での患者数は不明であるが、日本整形外科学会骨系統疾患全国登録によれば、1990-2015年の26年間に156例が登録されている。

臨床症状

内軟骨腫症は指趾の膨隆、脚長不等やアライメント異常で気づかれ、幼児期から学童期に発症する。腫瘍は成長期には増大しながら、
はじめ骨幹端に生じるが年齢とともに骨幹方向に移動する。
好発部位は指趾の短管骨で、上腕骨、大腿骨、脛骨、骨盤に多い。一側性を示すことが多いが、両側性あるいは交互性のこともある。
臨床症状は骨端線をまたぐ腫瘍による著しい成長障害による脚長不等とアライメント異常が主だが、関節周囲の膨隆や変形による
可動域制限も問題となる。また内軟骨腫により骨皮質が菲薄となり、病的骨折を生じることがある。
血管腫を伴う内軟骨腫症はMaffucci症候群と呼ばれる。

検査所見

X線所見
  • 骨透亮像と石灰化像が混在した膨隆性の病変を呈し、骨皮質は非薄化する。
  • Maffuci症候群の血管腫内に静脈石を認めることがある。

診断の際の留意点

関節近傍に片側性に内軟骨腫を認めることが多い。
膨隆性の病変を呈することが多いが、縦に走る骨硬化像を含む骨透亮像としてとらえられる場合もある。

治療

本質的な治療法はない。対症的な外科治療が行われるものの、臨床症状が軽度な場合は経過観察のみを、
脚長不等を示す場合は補高装具による脚長補正が行われている。
外科治療は内軟骨腫切除術が基本となる。部位別に必要性が高いものは大腿骨および下腿骨の内軟骨腫である。
片側性に腫瘍が多発する場合には、著しい脚長差や下肢の変形を伴いやすく、骨延長術や変形矯正術が必要となる。

合併症

成人期以降に腫瘍が悪性転化することがある

予後

成人期以降の軟骨肉腫などへの悪性転化率は10〜30%と報告されている。

成人期以降の注意点

成人期以降の長期予後についてのデータ集積はない。
腫瘍の急速な増大が認められる場合には悪性転化に注意する必要がある。
下肢アライメント異常や脚長不等が残存した場合には、関節症の発症などに注意を要する。

参考文献


  • 日本整形外科学会作成の診断基準
:バージョン1.0
更新日
:2017年3月17日
文責
:日本小児整形外科学会
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