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先天性補体欠損症 

せんてんせいほたいけっそんしょう

inherited deficiency of complement system

告示番 号27
疾病名先天性補体欠損症 
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概要

補体の各成分のいずれかが欠損した状態である。欠損する補体の種類によって、易感染性、自己免疫、遺伝性血管浮腫、発作性夜間血色素尿症、非典型溶血性尿毒症症候群などを呈する。発作性夜間血色素尿症および非典型溶血性尿毒症症候群を呈する疾患は他のカテゴリーに分類されているので、ここでは割愛する。

病因

補体成分の先天的な欠損による

疫学

いずれの疾患も非常にまれであるが、唯一、C9欠損症は日本人では比較的頻度が高く、日本人のおよそ1000人に1人はC9欠損症であると考えられる。ただし、C9欠損症では、無症状の場合もあるので、診断されていない場合も少なくない

臨床症状

補体活性化カスケード前半を構成する分子(C1q, C1r, C1s, C4, C2, and C3)の欠損症はいずれも常染色体劣性遺伝疾患で、SLE (systemic lupus erythematosus) 様の自己免疫疾患を発症する。特に、C1q欠損症では90%以上の患者にSLE様症状が認められる。一方C2欠損症、C3欠損症では莢膜を持った細菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌)に対する易感染性を示す。これに対して後半を構成する分子 (C5, C6, C7, C8α, C8β, C9)の欠損ではナイセリア属(淋菌、髄膜炎菌)の細菌感染症が好発し、特に髄膜炎菌による髄膜炎が重要な問題となる。古典経路に関わるC1からC8のいずれが欠損してもCH50は通常測定感度以下になるが、C9欠損症では通常低値をとる(測定可能なレベル)。
第二経路に関連するFactor D, properdinなどの欠損でも髄膜炎菌の感染が頻発する。
 レクチン経路のMBL欠損症では、細菌感染、特に髄膜炎菌の感染症がおこりやすいが、無症状の場合も多い

治療

感染症の予防、合併する感染症、自己免疫疾患に対しての治療が主体である。いずれにしても、インフルエンザ菌や肺炎球菌のワクチンは積極的に受ける必要がある。国内では髄膜炎菌に対するワクチンは現時点では使用できない。自己免疫疾患に対しては、ステロイドや免疫抑制剤など、通常の治療を行う。造血幹細胞移植の報告もあるが、通常は適応にはならない

合併症

上記のように、欠損する補体の種類によっては、易感染性以外に、自己免疫疾患が認められることに注意が必要である

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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