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44から47までに掲げるもののほか、自然免疫異常

そのた、しぜんめんえきいじょう

Other defects in innate immunity

告示番 号25
疾病名21から24までに掲げるもののほか、自然免疫異常
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HOIL1欠損症

慢性の自己炎症性疾患、侵襲性細菌感染症、筋アミロペクチノーシスを主な症状とする常染色体劣性遺伝である。HOIL1(RBCK1)遺伝子のloss-of-function変異によって、直鎖状ユビキチンリガーゼであるLUBAC分子の安定性が障害される。その結果、患者の線維芽細胞ではIL-1βやTNF-α刺激による反応性が低下し、易感染性の原因となる。対照的に患者末梢血単核球では、IL-1β刺激に亢進し、自己炎症性疾患が惹起される。このように、自己炎症性疾患と免疫不全状態が混在することがこの疾患の特徴である。これまで3例の報告があるが、国内からの報告はない。有効な治療法は確立されていないが、易感染性に対しては、ガンマグロブリンの補充や抗菌剤投与が行われ、自己炎症性疾患に対してはステロイドの投与が行われている。

WHIM症候群

常染色体優性遺伝形式をとる。CXC chemokine receptor 4(CRCR4)遺伝子のgain-of-function遺伝子変異によっておこる。WHIMは、この疾患の臨床像の特徴であるWarts、Hypogammaglobulinemia、recurrent bacterial Infections、Myelokathexisの略である。乳幼児期から肺炎、副鼻腔炎、中耳炎、蜂窩織炎、歯周炎などの細菌感染症を繰り返す。起炎菌は一般細菌であり、抗生剤に比較的よく反応することが多い。10代になると、ヒトパピローマウイルスによる疣贅が多発するようになるが、10代以前におこることもあり、疣贅のない患者も報告されている。他のウイルスに対する易感染性はない。

疣贅状表皮発育異常症

EVER1あるいはEVER2を責任遺伝子とする常染色体劣性遺伝形式をとる。しかし、常染色体劣性遺伝あるいはX連鎖劣性遺伝形式をとる場合も報告されている。EVER遺伝子は、膜貫通蛋白をコードしており、亜鉛のhomeostasisに重要な働きをしていると考えられており、EVER蛋白の欠損によってウイルス遺伝子、特にpro-oncogeneであるE6やE7の発現が亢進することが報告されている。皮膚病変は難治性・播種性である。通常乳幼児期に発症し、皮膚癌を高率に合併する。皮疹病変は手背や額からはじまり、次第に四肢、首、躯幹に進展していく。躯幹、首、四肢におこるものは、平坦、疣贅状、低色素性あるいは色素性丘疹であり、融合傾向がみられ、境界が不規則な斑状落屑になることもある。日光の暴露を受ける部位には、疣贅状あるいは脂漏性角化状の病変となりやすく悪性化しやすい。皮疹はβヒトパピローマウイルス(HPV)によって起こる。19種類異常のタイプのβHPVが同定されており、通常、複数の種類のウイルスが感染している。HPV-5、3、10の頻度が高く、HPV-5は、悪性化と関連が高い。患者の末梢血免疫能検査は正常のこともあるが、T細胞数の減少、mitogenやHPVに対する低反応性が見られる場合もある。

重症ウイルス感染症

これまで、STAT2遺伝子異常、MCM4遺伝子異常症の2疾患が同定されている。
STAT2欠損症は、麻疹ワクチン接種後に、麻疹ワクチン感染症が重症化した患者を発端者として同定された。同胞は重症ウイルス感染症で死亡している。In vitroで、患者の線維芽細胞内での著しいウイルスの増殖が起こり、I型IFNのシグナル伝達が障害されている。STAT2欠損症の臨床像はまだ充分には解明されていないが、無症状の場合もあると報告されている。国内からの報告はまだない。
 MCM4遺伝子異常は、ACTH耐性糖質コルチコイド欠損症、NK細胞欠損、成長障害を呈する疾患であり、染色体断裂が起こりやすいことが特徴的である。アイルランド地方の1部の集団に多いとされており、国内からの報告はまだない。

単純ヘルペス脳炎

遺伝的な要因によって単純ヘルペス脳炎を起こす場合である。家族性にみられることが多く、単純ヘルペス脳炎を繰り返しやすい。TLR3からのシグナル伝達に関連する分子の異常によっておこる事が明らかになっている。責任遺伝子として、TLR3(常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝)、UNC93B1(常染色体劣性遺伝)、TRAF3(常染色体優性遺伝)、TRIF(常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝)、TBK1(常染色体優性遺伝)が明らかになっている。

CARD9欠損症

口腔内カンジダ症や外陰部カンジダ症などの慢性皮膚粘膜カンジダ症の臨床像と、深部臓器のカンジダ症の両者が起こる点が特徴的な疾患である。皮膚糸状菌症や体部白癬も起こりやすく、紫色白癬菌や紅色白癬菌感染症、フェオフィホ真菌症等の報告もある。また、中枢神経系のカンジダ感染症をおこしやすいことが特徴である。CARD9は、自然免疫を担う細胞において、Dectin-1やDectin-2、Mincle等のC-type lectin receptorからのシグナル伝達に重要な役割を果たしている。患者好中球はCandidaに対する殺菌能が障害されている。樹状細胞内でのシグナル伝達も障害されるため、Th17細胞の分化が障害される。

トリパノソーマ感染症

海外で報告があるのみである。トリパノソーマに対する自然免疫として血清中のapolipoprotein L-1(APOL1)が重要な役割を果たしている。通常ヒトには感染しないT. evansiの感染症を起こした患者で、APOL1が欠損していた事が報告されている。

孤立性先天性無脾症

心疾患など、他の先天的な異常がない、先天的な無脾症である。責任遺伝子としてRPSAが同定されているが、責任遺伝子がまだ解明されていないものも多い。莢膜多糖体を有する細菌、特に肺炎球菌やインフルエンザ菌等に易感染性を呈し、特に敗血症を起こしやすい。抗生剤の予防内服、肺炎球菌ワクチンなどによる感染症の予防が重要である。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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