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重症先天性好中球減少症

じゅうしょうせんてんせいこうちゅうきゅうげんしょうしょう

severe congenital neutropenia

告示番 号10
疾病名重症先天性好中球減少症
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概要

骨髄における顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症である。中耳炎、気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症を反復し、時に敗血症も発症する。診断は骨髄検査における顆粒球系細胞の成熟障害であるが、確定診断、病型分類には遺伝子変異の同定が必要となる。ST合剤の予防投与やG-CSFの投与は感染頻度の減少と患者のQOLを著しく改善する。

病因

重症先天性好中球減少症(SCN)の遺伝子変異としては以下の通りである。
・ SCN1:ELANE変異による常染色体優性遺伝病。重症好中球減少症において100種以上の好中球エラスターゼ(ELANE)遺伝子変異が報告され、本疾患の約7割を占める。前骨髄球、骨髄球の成熟障害、過剰なアポトーシスが原因。
・ SCN2:GFI1変異による常染色体優性遺伝病。ELANEの転写制御因子であるGFI1の変異によりSCN1同様の好中球減少をきたす。
・ SCN3(Kostmann病):HAX1変異による常染色体劣性遺伝病。ミトコンドリア内膜電位維持に必要なHAX1変異によるアポトーシスの誘導
・ SCN4(G6PC3欠損症):G6PC3変異による常染色体劣性遺伝病。グルコース6リン酸化酵素活性の欠損により好中球におけるアポトーシス感受性が増加する。心疾患、泌尿生殖器異常、内耳性難聴および体幹、四肢の血管拡張を合併。
・ SCN5:VPS45のホモ接合体異常による。VPS45変異によるエンドソーム系の細胞内蛋白輸送障害。骨髄系細胞の分化、移動が障害される。

疫学

百万人に2人。性差はない

臨床症状

生後早期からの著明な好中球減少によるブドウ球菌、レンサ球菌による中耳炎、気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症などを反復する。肺炎、敗血症といった重症感染症も認める。また、およそ2歳までに口腔内潰瘍と有痛性の歯肉炎や口内炎をきたす。びまん性の消化管病変によるクローン病に似た腹痛や下痢も認める

治療

ST合剤による感染予防が重要であり、感染症がコントロールできない症例にはG-CSF投与を行うが、体重あたり3~10μgでほとんどの患者が反応する。なお、G-CSF投与に関しては骨粗しょう症のモニターとビタミンD投与を併用し、高用量で使用する場合は骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病への移行に細心の注意を払う。なお、このような症例では造血幹細胞移植も検討する

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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