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X連鎖リンパ増殖症候群

えっくすれんさりんぱぞうしょくしょうこうぐん

X-linked lymphoproliferative syndrome; XLP

告示番 号41
疾病名X連鎖リンパ増殖症候群
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概要

XLPは、EBウイルスに対する特異的免疫応答の欠陥を認める先天性免疫不全症である。現在、原因遺伝子が2つ知られ、SAP/SH2D1A遺伝子異常によるSAP (SLAM-associated protein) 欠損症をXLP1、XIAP/BIRC4遺伝子異常によるXIAP (X-linked inhibitor of apoptosis) 欠損症をXLP2と呼ぶ。

病因

SAPはT細胞のSLAMやNK細胞の2B4の細胞内ドメインと結合し、T細胞やNK細胞における細胞障害活性を亢進させる。このため、SAPが欠損するXLP1ではEBウイルス感染B細胞を排除できず、感染細胞の異常増殖が引き起こされ発症する。XIAPはアポトーシス抑制蛋白で、XIAP欠損症 (XLP2) のリンパ球ではin vitroの様々な刺激に対するアポトーシス亢進が認められる。しかしXLPとの病態の関係の詳細は未だ明らかではない

疫学

XLPの罹患率は100万人に1人と報告されているが、過小評価されている可能性もある。XLPの約8割がSAP欠損症、約2割がXIAP欠損症とされる。本邦では、SAP欠損症で30例前後、XIAP欠損症で20例ほどの患者の存在が推定されている

臨床症状

原則として男児のみに発症する。臨床症状は多彩であるが、EBウイルスによる致死的伝染性単核症もしくは血球貪食症候群、異常ガンマグロブリン血症、悪性リンパ腫が特徴である。その他、再生不良性貧血、リンパ性血管炎、リンパ性肉芽腫などが知られる。EBウイルス感染とは無関係に発症する場合もある。XIAP欠損症に特徴的な症状として出血性腸炎と脾腫がある。またXIAP欠損症では悪性リンパ腫の発生はみられていない

治療

臨床症状に応じた治療が必要とされる。致死的伝染性単核症は死亡率が高く、診断後は速やかにシクロスポリンAやエトポシドを中心とした化学療法を開始する。造血幹細胞移植が唯一の根治療法であり、適合ドナーがみつかれば移植を考慮する。低ガンマグロブリン血症に対しては免疫グロブリン補充療法を行う

合併症

致死的伝染性単核症以外に、異常ガンマグロブリン血症、悪性リンパ腫などが認められるが、合併症というより臨床症状と考えられる

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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