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プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症

ぷりんぬくれおしどほすほりらーぜけっそんしょう

purine nucleoside phosphorylase deficiency

告示番 号35
疾病名プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症
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概要

PNP欠損症は非常に稀な常染色体劣性遺伝の原発性複合免疫不全症であるが、ADA欠損症同様、核酸代謝経路異常を呈する先天性代謝疾患という一面も持つ。1975年にGiblettらはADA欠損症に続き、PNP欠損症も免疫不全を惹起することを見いだした。蓄積される代謝毒性産物のため、免疫系などが障害される疾患であるが、ADA欠損症よりも一般に免疫不全の程度は軽度で多様性がある。

病因

PNP遺伝子(14番染色体q11.2)の変異によるPNP酵素活性の欠損が病因である。PNP酵素の欠損のため、その基質の一つであるdeoxyグアノシンが蓄積し、リン酸化されたdGTPの細胞毒性によって主にT細胞系に障害が生じる (dATPよりも毒性が弱いとされる) 。

疫学

非常に稀な疾患で、全SCIDの4%を占めると報告されている。60数例の報告があるが、本邦からの報告は1家系のみであるが、発生頻度の詳細は不明である

臨床症状

反復する感染症が本症に共通した特徴で、あらゆる病原体に対し易感染性を示し、致死的な経過をとる場合の発症年齢は乳児期から7才と幅がある。免疫不全症としてはT細胞機能不全が主体とされている。呼吸器感染症が多く、細菌、ヘルペス属を中心としたウイルス、真菌などに易感染性を示す。症例が少ないため未だ全体像は不透明であるが、ADA欠損症よりも重症度は低いとされる。血中の尿酸が1mg/ml以下と低値を示すことが診断の一助となることがある

治療

現在のところ造血幹細胞移植が唯一の根治療法である。HLA一致血縁骨髄血、臍帯血を用いた移植成功の報告が数例ある。ADA欠損症の様な酵素製剤はない

合併症

本症の半分以上で精神運動発達遅延、痙性四肢麻痺、運動失調、振戦などの神経症状を合併する。神経症状は易感染性より先行することがある。さらに自己免疫的機序が想定される溶血性貧血、血小板減少症、白血球減少症の合併も多く、また、悪性リンパ腫、リンパ管肉腫といった悪性疾患も報告されている

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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