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細網異形成症

さいもういけいせいしょう

reticular dysgenesis

告示番 号32
疾病名細網異形成症
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概要

細網異形成症は原発性複合免疫不全症である。その一部の患者はAK2欠損症で常染色体劣性遺伝を呈する。1959年にDe Vaalらのリンパ球・顆粒球の分化が障害された双胎児が最初の報告である。骨髄レベルでリンパ球・顆粒球の分化が抑制されている一方、赤芽球や巨核球の分化はほぼ正常に保たれている。そのため血液幹細胞そのものの異常ではないと考えられている。主な症状は免疫学的な異常である。

病因

細胞の分化過程でアポトーシスに陥ることが予想されているが、詳細は不明である。2009年にPannickeとLagresle-PeyrouらによってAK2遺伝子(1番染色体p.35.1)が責任遺伝子であることが報告された。AK2はミトコンドリアのエネルギー代謝酵素adenylate kinase 2 (AK2)をコードする遺伝子である。AK2遺伝子異常と発症機序は不明である。一方AK2は蝸牛管内にある血管条で発現していることが発見され、これがAK2欠損症に合併する感音性難聴の発症と関与していると考えられている。AK2に変異を持たない細網異形成症患者が存在することがわかっており、家系分析による新奇原因遺伝子の同定が進行中である。

疫学

SCIDのうち2%以下であり、発症頻度は300-500万出生に一人と推定されている。フランスで17名、ドイツで11名、その他の国で約30例が報告されている。本邦では4例が登録されている。本邦の登録は諸外国に比べて少ないため、見逃されている症例が多いと考えられる。典型例ではTリンパ球分化障害、骨髄系細胞分化障害、感音性難聴を呈する。非典型例では、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄不全との鑑別が困難である

臨床症状

生後数日以内に致死的な敗血症を発症し死亡する。造血幹細胞移植を行わず最長の生存報告は生後50日である。
非典型例では再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄不全などとの鑑別が困難である。高頻度で感音性難聴を合併する

治療

免疫能を再構築しなければ致死的疾患であるため、重症感染症を発症する前に造血幹細胞移植を行う必要がある。移植前には逆隔離、免疫グロブリン補充、G-CSF投与、抗真菌剤、抗ウイルス剤の予防投与が必要である

合併症

感音性難聴、悪性リンパ腫など悪性腫瘍の高頻度発症が報告されている

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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