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X連鎖重症複合免疫不全症

えっくすれんさじゅうしょうふくごうめんえきふぜんしょう

X-linked severe combined immunodeficiency; X-SCID

告示番 号30
疾病名X連鎖重症複合免疫不全症
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概要

X-SCIDはX連鎖性劣性遺伝の原発性複合免疫不全症である。1966年にRosen らが報告した3家系が最初の報告である。共通γ鎖の変異により、Tリンパ球、NK細胞数は欠損または著減し(<300/ul)、B細胞数は正常である。主な症状は免疫学的な異常である。

病因

IL2RG遺伝子(X染色体q13.1)の変異による共通γ鎖を介するシグナル伝達不全が病因である。共通γ鎖はIL-2のみでなくIL-4,IL-7,IL-9,IL-15及びIL-21の受容体のサブユニットに共通であるため、IL2RG変異によってこれらのサイトカインのシグナル伝達が障害される。その結果、B細胞の成熟、T細胞・NK細胞への分化、抗体産生能に障害をきたし、重篤な免疫不全状態となる。

疫学

全てのSCIDが4万−7.5万人に1人の頻度で発生するが、X-SCIDは全SCIDの約半数を占め、SCIDの中で最も多い疾患である

臨床症状

適切な治療に抵抗性の慢性的な感染症、鵞口瘡、カンジダ皮膚炎、扁桃欠如、成長障害がX-SCID患者に全般的に見られる。また、難治性下痢症、肺炎(特にPneumocystis jirovecii肺炎)、敗血症、日和見感染症を発症することがある。Tリンパ球、NK細胞数は欠損または著減し(T細胞数<300/ul)、B細胞数は正常である(T-B+NK-)。通常生後数か月以内に日和見感染を含む様々な重症感染症(化膿菌・ウイルス・真菌・Pneumocystis jirovecii・結核菌など)を発症し、根治的治療である造血幹細胞を行わなければ生後1年以内に死亡する。

治療

免疫能を再構築しなければ致死的な疾患であるため、重症感染症を発症する前に造血幹細胞移植を行う必要がある。移植前には逆隔離、免疫グロブリン補充、抗真菌剤、抗ウイルス剤の予防投与が必要である。1999年にフランスで遺伝子治療による治療成功例が報告された。しかし2002年, 2005年に遺伝子治療後に白血病を発症した症例が複数報告され、ベクタ−などの改良が進行中である。本邦では本疾患に対する遺伝子治療は行われていない

合併症

なし

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本免疫不全症研究会
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